小型スピーカー聴き比べ

 小型スピーカーを比較試聴した際の感想メモ(in ヨドバシAkiba)。このクラスのスピーカに買い替えを予定しており、真面目に聴き比べた。この店のオーディオフロアは異常に品揃えが良いのだが、特に小型スピーカーコーナーは、コンパクトな空間に10数種類のSPが1つのセレクターに繋がって配置されている。この為、試聴の際も、セレクターをパチパチ切り替える事で、曖昧な脳内音声記憶に頼らない、音の直接比較が出来た。どの機種も音を聴くのは初めて。以下に各機種別の感想を記す。

Monitor AudioRadius 90」

 他のスピーカーが「スピーカーから音がする」のに対し、この機種は「空間が鳴っている」風に聞こえる。音がスピーカーを中心とした、直径1mくらいの空間から聴こえてくる感じ。表現を変えれば、この機種だけ音源に軽いサラウンドがかかっているような音がする。中高音の伸びは異常に綺麗で、かつ音の発生が遅れる事も無く、きびきびと鳴る。低音も、中音域とスムーズに繋がって聴こえる。あと特筆すべきは、小音量でも鳴り方が中音量以上と変わらない事。音全体の印象として、他のスピーカーとは違う、ソース音源を脚色した感じの音になっている。なので、趣味に合わない人も居ると思う。自分的には、脚色の方向性が大変好みだったので好印象を持った。今回の一押し。

ALR/JORDAN「Entry Si」

 自分の普段聴くような小音量では、スピーカーの奥に引っ込んだ篭った音になる(サランネットは付いていなかった)。音量をかなり上げると、音がスピーカーから離れて、奥行きのある音になる。低音はRadius 90より出ていた。自分的総括:このスピーカーを生かせる音量を出す位なら、もっと大きいスピーカを買ってしまう。残念ながら対象外。

Highland Audio「ORAN 4301」

 今回聴いた中では一番スタンダードというか、全体に品質の高い、標準的な鳴り方をする。自分はRadius90の音が好みだったが、仮にクラシック好きの父親に、このクラスのスピーカーを勧めるとしたら、多分これになると思う。ルックス的にも、普通のスピーカーっぽいデザインの機種の中では、本機が一番質感が高かった。

QUAD「L-ite」

 脚色された音がするという点で、音の印象がRadius90と似ている。が、自分にはRadiusの方がいい音に聴こえるので、方向性が近いが故に自分の購入候補には成らないなあと思った。

audiopro「image12」

 精密で繊細な音。音の響きが他のスピーカーより少なくて、CDの音を信号通りに再現している印象。モニタースピーカーって聴いた事無いが、こういう音がするのかも。高音域は今回聴いたスピーカーの中では一番出ていたと思う。非常にカッチリした音なので、電子音楽に向いているかもと思った。

全体の感想

 一言で小型スピーカーといっても、各機とも個性と言うか、歴然とした音の違いがあって驚いた。あと雑誌のレビューから読んだ印象と、実際に聴いた印象とでは随分違った。これだけ機種間で音が違うと言う事はつまり、市場には好みに合うスピーカーとそうでないスピーカーがはっきり存在すると言う事であり、多くの人が言う「スピーカーは実際に音を聴いてから買うべし」の言は本当に真実なのだなと思った。