本田透「電波男」

 この本は何だろうなあ、恋愛コンプレックスに心底苦しむ女性向けのメンヘル本としては良い本だと思います。ただしあくまで女性限定ですよ。普通に「キモメン」なだけの男性がこれ読んで救われた気分になってちゃいかんと思います。顔の所為にしたら顔が可哀想。
 自分の心を救う為に、自分が評価されない価値基準から離脱する、2次元に傾倒するってのはまあ分かります。が、だからと言って心の安寧の為に自分を相手にしない価値観(3次元)を貶めるってのはどうなんでしょう。大体大半の女性ってこの本に書かれている程馬鹿じゃない、こんなに「キモメンの心を守るのに都合の良い存在(ルックス重視)」では無いと思います(作者的には実体験に基づいた真実の姿なのだろうけれど)。中高生ならまだしも、一般的な女性は、男性と比べるとあまり恋人にルックスの良さを求めません(恋人なんかより同姓の友人選びの方がずっと審査基準が厳しい(自分の美的ヒエラルキーからそんなに外れない人同士で友達になる))。話題がずれそうなのでこの項の結論を纏めます。以下の3点。

  • 女性はそんなに馬鹿じゃありません
  • モテないのは顔の所為ではありません
  • 2次元はそれ単体で素晴らしいので傾倒する為に何かを否定する必要はありません


追加。
 人が生きていく為には、結局自分に対する自信が絶対に必要だと思うのですよ。その自信を支える物は「ルックス」に対する自負かも知れないし「経済力」「仕事能力」や「運動能力」「頭脳」への自負かも知れない。ただ自信ってのは他人に与えられたり期待するものではなくて、思い込みでも構わないから自分で獲得するしか無い物だと思うのです。だから、「萌え」では俺は救われない。「萌え」は自信を生まないから。自信が欠落した状態で萌えても心は空しいだけです。足りない自信を与えてくれるのは、結局行動によって得られる「実感」だけだと思うのですよー。男女関わらず人は、自信が肉体を通して変換され表面に現れた「余裕」や「落ち着き」に惹かれるんじゃないですかね。